公共工事(役所等から発注される建設工事)を直接請負うためには、原則として入札指名参加資格を取得しなければなりません。
そしてその入札指名参加資格を取得するために受けなければならない審査が経営事項審査(経審)です。
ここでは経審についてお話いたします。
このページの目次
経審で審査される主な内容
経審では主に次のような内容について審査されます。
- 経営規模(X1,X2)
- 技術力(Z)
- 社会性等(W)
- 経営状況(Y)
上記4項目を点数化し、係数を掛けて最終的な経審点数(P)を算出します。
①経営規模(X1,X2)
経営規模は完成工事高(X1)と自己資本・利益額(X2)で評価されます。
完成工事高(X1)は年間平均完成工事高が高いほど点数が高くなり、2年平均か3年平均のいずれかを選択できます。
自己資本・利益額(X2)は自己資本額と利払前税引前償却前利益の合計が大きいと点数が高くなり、こちらは当期か2年平均のいずれかを選択することができます。
X1を2年平均か3年平均のいずれを選択するか、X2を当期か2年平均のいずれを選択するかで4パターンあり、そのいずれを選択すれば狙った点数に近づけるかを考える必要があります。
②技術力(Z)
技術力(Z)は技術者の数と元請完成工事高によって計算されます。
申請する経審の業種に対応した技術者が多いほど点数が高くなり、元請の工事高が高いほど点数が高くなります。
加点対象となる資格は手引きなどに列挙されています。
審査基準日(直前決算日)から6か月と1日以上前から雇用していないといけない点に注意しましょう。
③社会性等(W)
社会性(W)は社会保険の加入状況や防災協定締結の有無、ISOへの取り組みなど建設業者が社会的責任を果たしているかどうかが評価されます。
比較的点数を伸ばしやすい項目かと思いますので、まずはWを見直してみるといいかもしれません。
④経営状況(Y)
経営状況(Y)は財務内容を評価されます。
具体的には純支払利息比率、負債回転期間、総資本売上総利益率、売上高経常利益率、自己資本対固定資産比率、自己資本比率、営業キャッシュフロー、利益剰余金の8項目から計算されます。
経審の有効期間は1年7か月間
経審は1度受ければおしまいではなく、決算終了後に毎年受ける必要があり、有効期限は「決算日から」1年7か月です。
例)令和5年4月30日決算の場合 ⇒ 有効期限は令和6年11月30日
決算日からの期間なので申請した時期に関わらず有効期限が決まります。
入札参加資格の有効期限とは別々なので、資格審査の有効期限が残っていても経審の有効期限が切れているという場合があります。
せっかく落札していてもいざ契約の段階で経審の有効期限が切れていたということが無いように毎年確実に申請しましょう。
入札を見据えた経審の申請を!
経審はあくまでも入札参加資格を受けるための申請ですので、経審の先にある入札を見据えた申請をする必要があります。
狙っている案件に必要な経審点数は何点なのか、どの業種で申請すべきなのかといった部分を明確にしてから申請に臨みましょう。
行政書士に依頼するメリット
経営事項審査申請は申請自体の難易度はそれほど高くないかもしれませんが、なるべく高い点数を取りたい、狙った点数を取りたいということであれば十分な知識が必要です。逆に、知識さえあれば決算がある程度固まった段階であれば申請前から経審点数をシミュレーションすることができます。
新しく入札に挑戦したい、いまより経審点数を伸ばしたいとお考えの方は、お気軽に当事務所へご相談いただければと思います。