建設業許可を取得するためには大きく6つの基準(要件)を備えている必要があります。
ここでは財産的基礎についてお話します。
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請負契約を履行するだけの財産があるのかどうか
建設業許可の基準(要件)の1つに財産的基礎という基準があります。
建設業法では以下のように定められています。
- (建設業法第7条第4号)
請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。
- (建設業法第15条第3号)
発注者との間の請負契約で、その請負代金の額が政令で定める金額以上であるものを履行するに足りる財産的基礎を有すること。
建設業を営むには、資材の購入、労働者の確保、機材の購入、工事着工の準備資金等を必要とするため、一定以上の財産的基礎、金銭的信用が無ければ認められないということです。
財産的基礎の具体的な内容は建設業許可の区分「一般建設業許可」か「特定建設業許可」かによって異なります。
建設業許可は上記以外に大臣許可/知事許可による区分、業種による区分がありますが、
財産的基礎要件に違いはありません。
一般建設業の財産的基礎
次のいずれかに該当すること。
- 自己資本※1が500万円以上あること。
- 500万円以上の資金調達能力※2があること。
- 直前過去5年間許可を受けて継続して建設業を営業した実績があること。
※1自己資本…
法人の場合:貸借対照表における「純資産の部」の「純資産合計」の額のこと。
個人の場合:期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額のこと。
※2資金調達能力…金融機関等から融資を受けられる能力のこと。500万円以上の融資証明書や残高証明書で確認します。
特定建設業の財産的基礎
次の全ての要件に該当すること。
- 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと。
- 流動比率が75%以上であること。
- 資本金が2,000万円以上あること。
- 自己資本が4,000万円以上あること。※
※設立後の最初の決算期が未到来の場合は、資本金の額が4,000万円以上であること。
特定建設業の財産的基礎要件計算式
事項 | 法人 | 個人 |
[1] 欠損比率 繰越利益剰余金がマイナスまたは事業主損失がある場合のみ計算 (プラスの場合はその時点で欠損比率の条件を満たします) | 【繰越利益剰余金の負の額-(資本剰余金+利益準備金+その他利益剰余金(繰越利益剰余金を除く。))】÷資本金×100≦20% | 【事業主損失-(事業主借勘定-事業主貸勘定+利益留保性引当金+準備金)】÷期首資本金 ×100≦20% |
[2] 流動比率 | (流動資産合計÷流動負債合計)× 100 ≦ 75% | |
[3] 資本金額 | 資本金 ≧ 2,000万円 | 期首資本金 ≧ 2,000万円 |
[4] 自己資本 | 純資産合計 ≧ 4,000万円 | (期首資本金+事業主借勘定+事業主利益)- 事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金 ≧ 4,000万円 |
確認資料の有効期限に注意
- 残高証明書、融資証明書・・・申請日の1か月以内
- 自己資本や欠損比率等・・・申請直前の財務諸表
一般建設業許可の残高証明書や融資証明書は申請日から1か月以内の証明書が必要です。
書類を準備して申請に行ったら不備があり、いざ再審に行ったら残高証明書の期限が切れてしまったということが無いように注意しましょう。
また、一般建設業の自己資本や特定建設業の財産的基礎要件を確認する資料は
申請時点で確定した財務諸表ということになりますが、申請のタイミングによっては
自治体ごとに取扱いが異なります。
令和5年4月30日決算の会社が令和5年7月1日に申請した場合、
令和4年4月30日の財務諸表を使うのか、令和5年4月30日の財務諸表を使うのかといった点です。
特定建設業許可の場合はどの時点の財務諸表を使うのかというのはとても大きな問題です。
微妙な時期に申請を行う場合は事前に申請先自治体に相談することをお勧めします。
行政書士に依頼するメリット
財産的基礎等に関する要件は建設業許可取得に関わる重要な要件です。
一般建設業であれば要件がそれほど厳しくないので建設業を営む企業にとってはクリアできる基準となっていると思いますが、特定建設業の場合は基準がクリアできているかはもちろん、申請時期が適切であるかの判断も必要です。
当事務所にお任せいただければ、財産的基礎等に関する要件が足りているのか、一般建設業又は特定建設業どちらを取得するべきなのか又その他の要件に関するアドバイスから申請手続きまでをスムーズに行うことができます。ぜひお気軽にご相談ください。